地元の新聞に料理の紹介コーナーがあるのですが、そこに先日「しらすのバケット」というものがありました。あぁ、またバゲットのことをバケットと書いているなと思いながら読んだのですが、それだけではありませんでした。
何と食パンを半分に切ってシラスなどを乗せ、オーブンで焼いたらバケット、ではなかったバゲットということです。まったく意味が分かりません。
おまけに「パンはフランスパンに変えてもおいしいです」とありました。まったくの支離滅裂。サンドウイッチマンのコントではありませんが、「ちょっと何言ってるかわかんない」といった有り様です。
あまりにもおかしいので、料理教室を主宰されているというその著者にメールで連絡してみました。すると、これがまた驚きの返答。
まずこちらが氏名や電話番号まで名乗っているのに、どこの誰だかという紹介もないメール。しかも件名が「こんにちは」です。これは件名ではなく、本文で書く冒頭の挨拶のはずです。
「バケットについては文献にバゲットと両方あったから」だと。であれば、どちらが正しい表記なのかなぜ調べないのかと。「両方ともフランスパンの一種」と書いていましたが、両方ということは別もの?
食パンを使った理由については、「バケット風にパンを長く切り作りました」と。これもサンドウイッチマン状態。バゲットは確かに細長いですが、断面は丸いです。長方形の食パンがなぜバゲットになるかと。
フランスパンはいろいろな種類がありますが、一般的にはバゲットやバタールを指すことが多く、例えばエピやフィセルを意味することはないと思います。なので、タイトルに「バケット」(バゲットですが)と謳っておいて、最後に「フランスパンでも」というのはどう考えてもおかしいです。
以前、バケットとバゲットについて書いた記事があります。
http://french.sblo.jp/article/50991560.html
また、こうした言葉遣い一つが、その料理に間違いなく影響するということも以前書きました。
http://french.sblo.jp/article/48057097.html
嘆かわしいのは、こうした料理用語に対する認識レベルの方が、人に料理を教えたり新聞などで情報発信をしたりすることです。それでまた誤った情報が伝播してしまうことが残念でなりません。これはよく言われる、「言葉は時代とともにその意味が変化していく」といったものとは次元が違うと思います。
2022年02月17日
嘆かわしい料理用語の誤用
posted by bourbon_ueda at 00:00
| Comment(0)
| 食をめぐる報道
この記事へのコメント
コメントを書く