2011年06月02日

ひどすぎるオールアバウト

各分野の専門家が生活に関する情報をわかりやすく解説するオールアバウトというサイトがあります。この中のフランス料理に関する記事をときどき読んでいますが、内容というより執筆者の資質を疑問視してしまうことが散見されます。それは専門家では考えられないような誤字がいくつもあるからです。

たかが誤字、と思うかもしれません。キーボードで文字を入力する習慣となった今、単なる変換ミスではないかと思うかもしれません。しかし物書きにとって言葉は命であり、一つ一つの言葉の意味を深く理解し、たとえ入力ミスや変換ミスであっても画像情報としての文字に違和感を感じ、その場でなくても推敲するはずですからその時に気付いて当然だと思うのです。

これまであった例をいくつか挙げます。

「デュラムセモリナ」のことを「デュアルセモリナ」と書いています。これはデュラム粉というものがあるという知識が前提にあれば、間違うはずのないことです。

「ブランドブラン」のことを「ブロンドブラン」と書いています。これは白ブドウだけから作られたシャンパンのことで、直訳すれば白の白です。確かにシャンパンはブロンド色かもしれませんが、これでは意味をなしません。

「オーベルジュ」のことを「オーヴェルジュ」と書いています。「ヴェ」と表記するといかにも外国語っぽい感じがするかもしれませんが、原語はauberge、どこにも下唇を噛むスペルはありません。

「居抜き」のことを「射抜き」と書いています。外食産業に携わる者なら間違うことのない専門用語ではありますが、初めに音で「いぬき」と聞いたときに、果たしてどういう意味だろう、どういう字だろうと調べてから使うのが物書きの良識だと思います。

たかが誤字ではありません。こういうレベルの間違いがあると、その内容の信憑性、信頼性にまで影響してくると思うのは私だけではないはずです。もう一ついつも気になっているのは、文脈とはあまり関係のない知識や経験のひけらかしです。それは読者のためでなく、自己の尊厳欲求から来るものと解しています。

以前にも書きましたが、恐いのはこのような誤った情報が世間一般のスタンダードとなることです。編集者のチェック機能の不在という、根本的な問題もあるかと思います。
posted by bourbon_ueda at 00:00 | Comment(2) | 食をめぐる報道
この記事へのコメント
まー最近こんな人が多いですね。
巷のテレビで大人気のイケメンだけがとりえのシェフなんざ、修行したのはイタリアではなく喫茶店とかお好み焼き屋だそうですからw
だからか知らないけどテレビで実演してるのはイタリアの香りが微塵もなしの何だか怪しげな家庭料理風な物ばかり。コラボとでもいいたいのか知らん。
そーいやこの人(自称)イタリアンシェフなのに何故かキムチをプロデュースしてたっけ。
Posted by Q at 2011年06月04日 00:45
Qさん、コメントありがとうございます。テレビ出演の多いイタリアンのシェフとは想像つきますが、そういう経歴だったのですか。驚きです。
Posted by bourbon_ueda at 2011年06月04日 04:06
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