テレビ番組の「食彩の王国」、いい加減にして下さい。これでこのブログで指摘するのは3回目です。
この前の日の放送、テーマはシジミでした。京都にあるイタリア料理店が取り上げられていて、シジミを使ったいろいろな料理が紹介されていました。その中で、琵琶湖のマスと生クリームをフードプロセッサにかけて、シジミとそのエキスを合わせて容器に入れ、オーブンで蒸すという料理がありました。問題はその容器です。
料理名は「テリーヌ」とありましたが大間違いです。容器がテリーヌ型ではなく、大きめのココットでした(ちなみにストウブでした)。テリーヌやココットやグラタンは、料理名であるとともに元はみな器の名前です。ですからその器で加熱した料理でなければ、その器の名前を使ってはいけないわけです。
そうは言っても、お店でそういう名前で出しているからという言い訳があります。であればもともとの非はお店にあるわけですが、より重要なのはマスコミとしてそのチェック機能が働いていないことです。お店ではそう言っているけれど本当は違うでしょと指摘する機能が、本来マスコミにはあるべきです。何しろマスコミュニケーション、大衆伝達なのですから。
もしお店の間違いを気付いていて、それを例えば表現の自由だからといった理由でそのまま流しているのは、マスコミの役割を放棄しているとしか私には思えません。本当の情報をわかっていてそれを伝えないことが、果たして良心の呵責に駆られないものでしょうか。
何しろ心配するのは、こうした料理のことをテリーヌというのだという間違った認識が広がることです。ホテルエドモントの中村勝広シェフが、クラシックな料理は技術の宝庫だと改めてその重要性を指摘していますが、まさに洒落た言葉だけが浮揚するのではなく、そもそもの意味を踏まえた表現というものが必要だと切に思います。
2012年02月05日
テリーヌじゃないだろっ!
posted by bourbon_ueda at 00:00
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| 食をめぐる報道
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