2013年08月22日

名のあるシェフが意外な処で

以前東京や横浜に住んでいた頃はよくあちこちのフランス料理店に行ったものでした(ピーク時には年間50軒、週一度のペースです)。そこでは食べるのももちろん、よくそのシェフと話をしたり、時には仕事で関係することもありました。ですからその当時のシェフの方の名前はよく覚えていて(面識のあるかないかに関わらず)、逆に最近マスコミに登場する若手のシェフは同じジャンルでもさっぱりわからないということがしばしばです。

そこで最近、テレビを見ていてあれっと思ったことが二度ありました。一つはかつてクラブ・デ・トラントというシェフクラブに所属していて、その後脱退してなぜかフランス料理をやめて魚の店を開いた(と言ってもフランス料理ベースでしょうが)という話を聞いていたOシェフ、先日見たら「俺のフレンチ」のスタッフになっていました。

もう一つはやはりシェフクラブのクラブ・ミストラルという団体に所属していたNシェフ、今回見たら何と平田牧場の直営レストランでトンカツを揚げていました。同じ洋食店にスライドすることはよくありますが、まさか一応日本料理に分類されるトンカツ店とは(トンカツの由来はイタリアのカツレツですけれどね)。

いずれにしても思うのは、個人店の営業の難しさです。Oシェフは代官山、Nシェフは渋谷に店を構えていました。当時(と言っても10年以上前)はそれなりにマスコミなどに取り上げられていましたが、その後いろいろな経済状況もあって低迷したとは思いますが、少し中身を知っている身としては厳しいようですがやはり消費者に受け入れられるだけの価値を提供していなかったことに尽きると思います(実際に食べに行きましたから)。

今やうまい料理を出してさえいれば成り立つという時代ではありません。その意味ではいずれも食のマーケティングの世界に巻き込まれた形となったようですが、いずれももともと腕はあるはずなので、新天地でそれを発揮して奮起してもらいたいと思います。特に知っている方たちなので。

ところで、そのNシェフから当時聞いた話を一つ。フランスでかのジョエル・ロブションのもとで修業したそうです。今ではフランス料理界の神様のような存在のロブション氏ですが、その当時のフォン(いわゆる出汁です)は市販のコンソメを使っていたそうです。その真偽のほどは定かではありませんが、その話を聞いたことは紛れもない事実です。
posted by bourbon_ueda at 00:00 | Comment(0) | 食をめぐる報道
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