2013年11月20日

安全と安心は違う

近頃似たような言葉をどのような状況でも並べてワンフレーズとしているのがどうも気になります。目立ち始めたのは震災後の「復旧復興」であろうかと思います。そしてそれ以上にいつも気になるのが「安全安心」です。以前からありましたが最近また食品偽装の問題で目立ち始め、先日は官房長官もこの表現を使っていました。

そもそも安全と安心は別ものです。安全だから安心とも言えますが、安全だけれど安心ではない、安全ではないかもしれないけれど安心であるというのもあるわけです。安全とは客観、安心とは主観です。科学的に身体に害が及ばないというのが安全で、それを個人が証明するのは困難です。ですが安心は気の持ちようなので、個人の判断で足りるわけです。

なので、当局が大丈夫と言ってもどうも信用できないというのが安全だけれど安心ではないということで、よくわからないけれどこの人(店)なら大丈夫というのが安全ではないかもしれないけれど安心ということです。ですから状況に応じてこれらを使い分けなければいけないわけで、何でもかんでも安全安心とつなげることに大きな違和感を覚えます。

今回の食品偽装(巷では誤表示などと言っていますがそうは思いません)の件では、その安全性が問われているわけではないはずです。あくまでも信用問題なので、安心できるように対応すべしというのが正しい表現です。どうも言葉一つ一つの意味をあまりよく考えずに、一つの流行のようにフレーズが一人歩きしているようでなりません。

似たような言葉を並べるという語法は、それぞれの言葉の意味を希釈するという効果もあるかと思います。極端に言えば、二つの言葉でワンセットなので結果的にどちらか一方が欠けていてもそれは達成したことになるという、確信犯的な用法です。その意味でビジネスの場でよく気になる表現が「等々」です。これだけではありませんよ、ほかにもあるでしょ、でも明らかにしませんよという逃げのように感じます。
posted by bourbon_ueda at 00:00 | Comment(0) | 食をめぐる報道
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